デザイナーのアン・バレンタインはパリで光学やアート、ファッションについて学んだあと、1980年に自身の眼鏡店を南フランスのトゥルーズにてオープンさせます。1984年に自店の眼鏡制作を夫のアラン・バレンタインとともにスタートさせました。1992年に本格的なハウスブランドとしてデビュー。その後は自社工場を持ち、精力的にブランドを展開しています。アン・バレンタインのブランドコンセプトは「THE PLEASURE OF BEING MYSELF（自分らしくあることの喜び）」。かける人の個性・魅力を引き出すことを目標とし、ほかのブランドと比べて、力強い線やビビットなカラーリングを用いたものが多くみられます。顔をキャンバスに見立ててその上に絵を描くようにデザインされているため、かけたときにその魅力がよくわかるデザインとなっているのです。彼女のイメージに大きな影響を与えているのはアン・バレンタインが最初にショップを構えたトゥルーズの環境。『バラ色の都市』（la ville rose）、『スミレの市街』（Cité des violettes）とも呼ばれる、トゥルーズの豊かな自然の色彩や建築物の構造がデザインに大きな影響を与えています。彼女のデザインの色彩を表現するために既存のセル生地ではなく、ブランド独自のセル生地のカラーを用いているのも大きな特徴です。そしてその彼女のデザインを的確にアイウェアとして作り出す自社工場の優れた職人もまたアン・バレンタインの魅力に一役買っているのです。